2004-03-07

近況

今月は財政難が予想されるためなるべく新刊は買わず手許の本を読もうと決めた. たとえば学生時代に買った "Building Application Frameworks" という本. 内容には定評があれど洋書の敷居は高く, 積読のまま現在に至っている. この貧乏を機会に読みたい.

そこで, 読む前にこの本をばらすことにした. 本書を読まずにいたのは中身が英語である他に外見が分厚いからでもある. しかもハードカバー. この弊害は大きい. まず読みにくい. 重量を支えるため, 机に向かって読むことになる. そして持ち運べない. これを喫茶店やコーヒー屋に持ち込んで読むのは肉体的にも精神的にもしんどい : 重くて肩がこり, 店員の目を気にして気疲れする. なにより厚みを前にすると軟弱な精神は挫けてしまう.

これらの問題は表紙を外し中身を適当な厚さに分割することで回避できる. 加えて分割には心理的なアドバンテージもある. まずばらしてしまった以上本棚の肥やしにはできないという圧力がはたらく. また単なる紙束としての外見は書き込みへのためらいを振り切る助けとなる. 資産価値を主張するハードカバーは目につかないところへしまおう. 本書の価格の割にチープな装丁も分割への抵抗を減らしてくれる. このダサイ表紙ならまあ無くてもいいかと思える. (たとえば Tiger Book を分割するのはなんとなくもったいない.)

そんな風に自分を説得しながらばらしました.

本をおろす

ばらす手順はおおよそ以下のとおり:

まず表紙を切離す.

本書は背表紙と本体の間に隙間があるから, 連結部分だけをカッターで適当に切ればいい.

あとは適当な単位で本体を切り出していく. 背の糊づけ部分に厚みがあったので, カッターのかわりに包丁を使ってみた. シャレで置いたまないたも思ったより収まりがいい. "ばらす" というよりむしろ "おろす" といった趣.

切れ目のページは体重をかけて強く開く.

この作業に遠慮はいらない. 開き方が甘いと包丁で切る際に背でなくページを切ってしまうことがある.

これをくりかえす. 本を立てて, 上から下へ押すように包丁を使おう. 肉より野菜のイメージ. (切っている最中は両手がふさがり写真とれず.) 工程は 30 分もかからない単純作業であった.

不可逆な作業だけに, 分割の単位(ページ数)はちょっと考えてしまう. あまり多いと分割の有難味がないが, 少なすぎるとうまく切れない. 本書では 1 束 50 枚前後が丁度よかった. 紙によって適当な枚数は異るはず. また章のような論理単位を優先したい. 本書は PART1 から PARET7 までの 7 部からなるため, その単位で分割した.

少し持ち運んでみたところ, 表紙がない不便さもあることがわかった. 下線をひく時など, やわらかく厚みもないのでやりにくい. また最初のページは鞄の中で皺になる. 厚紙で表紙をつくるくらいの気遣いは必要かもしれない.

こんな手間のいらない日本の技術書はよくできていると思う. 紙は薄くコンパクト. ソフトカバーはハードカバーのようにがさばらず, かつペーパーバックほどチープでない. シリーズ物を中心にシンプルな色使いも増えてきた. 翻訳はいいから, 装丁だけ日本風にして出版する会社はないかしら.