2004-12-08

近況

一里塚の凪の中, 週に一度は定時に帰ると決意し三度目の水曜日を迎えた. 混み合う靖国通りには慣れてきた. 散髪サービスが定休なのは忘れていた (...と同僚に話したら 床屋の休みは月曜でしょ?と一蹴.)

早く帰るために必要なものはもっぱら決意であると先人は言う. そうかもしれない. 仕事は無限にあり, 時間は有限だ. 上限を決めるのが終電でも日没でも大差はない. そう自分に言い聞かせ, 上司の目を盗んで席を立つ. できません. 無理です. 彼女に盾突かなければいけない日はいつ来るのだろう. おさきにしつれいします. 私はこの人を好きだから. せめてその時までは.

最近読んだ本 : 建物はどうして建っているか 構造 -- 重力とのたたかい (マリオ・サルバドリー)

薄かったのでなんとなく.

建築の入門書らしい, 建物がどうやって重みを支えているのかという話を中心に, 梁, 床, 鉄骨, 橋, ドーム, etc と色々説明されている. 構成がとてもいい. シンプルなものから始まり, 建築を支える様々なアイデアがわかりやすく説明されていく. また各章には 模型を作ってみる演習のようなものがある. 模型の材料は身近なもの(本, 紙, アイスの棒, シリアルの箱など)が多いので, 実際に作らなくても説明を読めばなんとなく想像ができる.

アイデアの説明のあとには, 具体的な建築物が紹介されている. 古い本だから出てくる建物も古いのが多いけれど, 私は素人なので十分新鮮だった. ただ建物の絵はイラストだけな. 写真とか設計図みたいのも見たくなる. 建築書売場が写真集売場に隣接しているわけがよくわかった. 実物が見たくなるわけね.

最近読んだ(けどいまいちだった)本 : パラドックス大全 (ウィリアム・バウンドストーン)

タイトル買いが災難を招いた. 前半はそれなりに逆説の話をしていて面白いのだが, だんだん逆説から離れていく. 中盤は物理学の思考実験, 後半は更に離れて NP 完全とかチューリング・テストとか, そんな話になってしまう. なぜだ. もっとパラドックスを大全するんじゃないのか. それにこの手の本特有のもったいぶり感がうっとおしい. こんなタイトルなんだから, 論理学の啓蒙はよそでやって欲しい...と思ったら原題は "LABYRINTHS OF REASON". たしかにそれならわかるかも... 気付けば表紙絵もそれっぽい. しまった.

教訓: 翻訳本を買う時は原題もチェックする.

ちなみに欲しかったのは, こんなの の逆説版の優しいやつ. この本は複雑さの理論の入門兼 NP-complete 問題のカタログで, 学生時代の親玉がもっていた. ちょっと欲しい. 肥に.